一般人にも真性ヲタクにもなれなかった人のブログ

中途半端な人間の気持ちが、わかるってのか…!!

「ワンモアジャンプ」というフィギュアスケート漫画があったことを、ご存知だろうか?

こんにちは、アキノです。

「ワン・モア・ジャンプ」という少女漫画をご存知でしょうか?最近、数年ぶりにこの漫画を改めて読んでみまして、これはやはり名作だと再確認したため、ちょっと語らせて頂きたいと思います。特にフィギュアスケートスキーは必読!

「雨でも楽しい!」が今週のお題らしいので、やっぱりひきこもりDayは漫画っすよねってことで!(半ば強引に)

『ワン・モア・ジャンプ』とは?

ワンモア・ジャンプ 1〔文庫〕 (小学館文庫 あC 47)

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「天よりも星よりも」、ドラマ化もされた「P.A-プライベートアクトレス-」などが代表作として知られる、赤石路代先生の作品。

主人公の帝(みかど)は双子の兄・皇(こう)と共にスケートに励んでいるが、兄ほどやる気はない。両親は日本で唯一世界選手権でメダルを取った、ペアスケーター。ある日、ロシアに滞在中の父が交通事故で亡くなったという知らせが入る。しかも、一緒に事故にあったのが、父が現地に作った家族だとわかり…。というのが、物語の書き出し。

更にこのあと、父の潔白を信じて双子の二人はペアをやっていこうと奮起するものの、兄が製氷機にひかれて亡くなったり…。母親は精神的におかしくなり。帝を引き取ろうとした叔父さんたちは、スケートをやめさせようとするんですよね。そこに現れたのが、父がロシアで作った子供・トーマだったのです。

事故で再起不能となった、元・天才スケーターであるトーマに指導を受けながら、帝は才能を開花させていき…。結果、トーマに恋に落ちます。そんなラブ&スポ根(?)漫画なんですね。

ストーリーは一見、暗く・重く感じるかもしれないですけど、言っても「ちゃお」に掲載されていた作品です。対象は小学生。私も当時は小学生でした。なので、そんなにドロドロしているわけではないです。最後にはトーマとも血が繋がっていないってわかりますしね。

ただ、これ小学生の漫画じゃないよ…??合わせてきてるのって、帝がメダルを取ったのは13歳で、ライバルの緋夏が14歳っていう、年齢設定くらいじゃないか??

舞台はリレハンメルオリンピック長野オリンピック

前半がシングル編、後半がペア編といったところでしょうか。まぁ、3/4はシングル編ですけれど。シングルで金メダルを取るのが、リレハンメルオリンピック。ペアで金メダルを取るのが、長野オリンピックです。

特にリレハンメルオリンピックの描かれ方は、臨場感がすごいです。開会式の様子だったり、ユニフォームもきちんと描かれています。長野オリンピックはまだ開催が決まっているだけで、詳細な情報が出ていなかったため、赤石先生の想像ですが。

試合のシーンも、すごいんですよ…。オリンピックの最終グループの雰囲気とか、寒気するし。あと、帝が金メダルを決めたフリーとか、なんか知らないけど、涙が出てくるんですよね…。ほんとに、スケートの演技を見て感動するのと同じ感覚で。私の想像の中で、滑ってるんでしょうね。

フィギュアスケートオタクへ英才教育

赤石先生自体がフィギュアスケートをかなりお好きで、勉強されています。今は愛蔵版しか手元にないのですが、当時発行されていたコミックの空きスペースでは、スケートトークをされていました。小学生の私はここで、スケートの勉強をしたものです(笑)。

井上怜奈さんがシングルスケーターだった時の話とか、本田武史くんのシニアデビューの話題もここで見た気がします。あと、クリスティー・ヤマグチとルディ・がリンドがペアを組んでいたというのも、ここで知ったような。

今はインターネットが盛んだし、昔のスケーターの演技もYou tubeで見れます。ただ、当時はパソコン通信がやっとの時代。ちょっと後にインターネットも出ましたけど、通信も遅く、日本ではフィギュアスケートはマイナースポーツ。情報は全然ありませんでした。

もちろんのこと試合も、NHKでやっと放送があるくらいでしたが、当時はテクニカルプログラムとフリーの2日間あるっていうのも、漫画でなんとなく知ったんじゃないかな。

更に、実在のスケーターをモデルにして描かれているんだろうなというキャラもちょろちょろ登場して、これもまたおもしろいんですよね。

未来が見えていた?

先ほど少しお話しました通り、リレハンメルオリンピックが主な舞台なんですね。ストーリーのはじまりはおそらく1992年くらいです。トーマがロシアに住んでいた頃にペアを組んでいた、タチアナがプラハの世界選手権で優勝する話題があり、プラハ開催は1993年です。

すごいなと感じるのが、当時読んでいて「これをやるのはちょっと厳しいよね」と思っていたことが、現在実際の選手がやってたりするんですよ!

帝の代名詞はトリプルアクセルなんですけど、浅田選手しかりトゥクタミシェワ選手しかり、試合でいれてくる選手も増えてきています。帝は結果、女子選手ながら4回転まで飛ぶんですけど、安藤美姫ちゃんは試合にいれてきてましたしね。

あと、今では当たり前になっている、3連続のコンビネーションジャンプ!これも当時やっている人なんていませんでした!2002年の全日本でまだ小学生の浅田真央選手が、3T-3T-3Tを決めた時は、「ワンモアジャンプの時代がキターーーーーーー!!」って歓喜したのを覚えています(笑)。


あとはペアが舞台になってからの、4回転スローイングジャンプとか。地味に片足でのストレートラインステップとかもそうです。

もともとのネタはブライアン・ボイタノですが、片手をあげたジャンプも結構組み込んできます。更に、両手をひろげたジャンプも主人公・帝ちゃんの代名詞です。これは実際に試合で見たことはないんですけど、羽生結弦選手が練習でやってた映像を見たことがあります。

ペア編のライバルにあたる男子選手・ラリーが軽々成功させてしまうのですが、「普段ラリーが練習メニューのひとつとしてやってることだ」というセリフがあります。もしかすると、赤石先生も誰かがやっているのを見たことがあったのかもしれません。

ライバル・緋夏ちゃんのビールマンスピンも、当時「世界では数人」とされていましたが、今ではみんなやってます。当時の6.0方式から採点ルールが厳格化して、1つ1つのエレメントに点数がつけられるようになったためでしょうが。

そして、彼女のブレードはゴールドで「金色の緋夏」と称されるという設定なのですが、今は金色のブレードの人って結構いますもんね。こういう時代の変遷を見るのも、とってもおもしろいです。

こうやって実際に実現しているのを見ると、よく漫画ではありがちな「5回転」とかで奇をてらいすぎたことをするのではなく、あくまでもフィギュアスケートというスポーツに敬意を持って、技術の延長線上で想像されていたのでしょう。

あと、オリンピック代表を現在はリンク上で発表しているけれど、当時はそうじゃなかったんですよね!これも「ワン・モア・ジャンプ」は先取りしています(笑)。

実際の選手に滑って欲しい、プログラム

この漫画に登場するスケーターたちが滑るプログラムって、本当に魅力的なんですよ!特に帝が滑る、「ピーターパン」や「アラジン」「リトルマーメイド」「キャッツ」などは、実際再現されるときっとおもしろいと思います。

帝はジャンパーとして描かれていますが、発想がユニークで自分でプログラムを作っちゃう感じなんですね。

ライバル・緋夏の「蝶々夫人」と「ミスサイゴン」のストーリーをリンクさせて、共通の振りをいれてきたり…というのも、おもしろい!

ペアになってからのプログラムも、緋夏&ラリーペアの「オペラ座の怪人」とかは非常に見てみたいですね!

実際のスケーターたちが使っているクラシックの名曲や、ミュージカルナンバー、映画音楽まで使用されていて、想像するだけでもワクワクしちゃいます。

魅力的なキャラクター

みんな、魅力的なんですよ?でもねでもね、やっぱり私はラリーが大好き…!!!

ペア編のライバル役として登場するのがラリーなので、かなり後半のキャラクターなんですけど。トーマがシングルスケーターとして活躍していた時のライバルでもあり、事故を仕組んでトーマを再起不能にさせたと噂されています。

彼はリレハンメルオリンピックのアメリカ代表で、男子シングル金メダリスト。金髪のおぼっちゃまで、冷徹な俺様・王子様でファザコン(笑)。帝がトーマの妹だと知り、近づいていったのですが…。

結果、帝とペアを舞台にして、戦うことになるんですね。ラリーがペアのパートナーに選んだのが、リレハンメルオリンピックの銅メダリスト・緋夏なんですよ。(今思うと、多国籍ペアでオリンピック出場するから、緋夏はアメリカ国籍を取得したことになりますな)

冷徹なはずのラリーが、だんだん緋夏に絆されていくところが…!!かわいいじゃないか…!!このやろう!!って感じなんです(悶)。

緋夏は感情の起伏が激しくて、帝にも感情的に当たってくるし、演技にも反映されてしまう。欠点があるとすればそこって、帝の母(であり帝のコーチでもある)も指摘するのですが、やはりその分まっすぐで裏表がないんでしょう。最初から最後までラリーを信用するのは、彼女だけだった…という。

当時小学生だった私もキュンキュンしてたけど、今読んでもキュンキュンする…!!

赤石先生にはそこのところ描いてほしかったけれど、あまりページが割かれていないんですね。ペア編は結構駆け足だったし。誰か二次創作作ってないのかなぁ…?

スケオタさん…っていうか、そうでなくても読んで…!!

赤石路代先生の絵って、たぶん人を選ぶと思うんだけど…。特に若い人には。私が小学生だった頃ですら、ちょっと古い感じがしてたし…。(私の小学生時代は、セーラームーン姫ちゃんのリボン・ママレードボーイなどなどが流行っていた)

でも、フィギュアスケートにちょっとでも興味がある人には、いちばんオススメ出来る漫画なのは間違いありません。私がこの作品をきっかけに、実際にフィギュアスケートが好きになって、はまっちゃったので…。

採点方式は6.0システムなので、現在とはちょっと違いますが、「フィギュアスケート」そのものが純粋に楽しめる作品です。初心者さんは勉強にもなります。

愛蔵版文庫版と出ていますが、愛蔵版(フラワーコミックス・デラックス)には、発売当時には収録されていた番外編が入っていませんでした(泣)。トーマがロシアにいた頃の、タチアナさんとのお話です。

電子書籍版も出ているみたいで、こちらは発売当時と同じく、9巻編成のものを電子書籍化しているので収録されているでしょう。


もともと赤石先生はトーマとラリーの過去の話を描こうとしてたみたいだったので、そっちがお蔵入りしているのが残念です。また、描きませんか?赤石先生…!

「ファイヤーオンアイス」も読もうかなと思ってAmazonで見ていたら、文庫版には「アルペンローゼ」の番外編も収録されてるって記載されてたから。今からでも、どうでしょう?


小学生の頃もファンレターで必死にお願いしたけれど、「緋夏とラリーのペアは描くのが楽しくて、気に入っていました」との返答ばかりだったんだよなぁ…と懐古入ります。 

赤石先生、そういえば一言だけど直筆でちゃんと返事くれてたな。今の漫画家さんってどうなのかわからないけど、すごいなぁと今更。